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ゴメス一発!藤浪149球の白星

序盤・中盤・終盤と効果的な得点を重ねた阪神が、理想に近い試合運びで東都初戦に快勝をおさめた。

阪神先発・藤浪は初回1番に入った坂口の右前安打と四球で一死1・2塁のピンチを背負うが、4番 畠山は外角速球で遊ゴロ併殺に打ち取る。

3連敗スタートとなった東京ヤクルトは、本拠地・神宮開幕に館山を立てて必勝を期していた。立ち上がりは全て内野ゴロで3者凡退で滑り出した館山だが、2回表 阪神は1安打2四球で一死満塁の好機を掴み、8番 梅野が詰まりながらも高め直球をライト前に運ぶ適時安打を放つ。中継の乱れもあって3塁に止まりかけていた走者・鳥谷まで還り、阪神が2点を先制した。

「ストライクゾーンに来たら思い切っていくつもりだった。(初球スライダーを見送る事が出来て)より思い切れるカウントを作れた事がイイ結果につながったと思う。晋太郎にとっては今日が開幕戦だし、何とか援護したいと思っていた」。女房役として先制打を決めた梅野隆太郎捕手は、ホッと胸を撫で下ろす。

早々とリードをもらった藤浪も序盤はまだまだ不安定。3回は2四死球で走者を背負うも川端・山田を辛うじて抑えるが、4回裏にヘイグが平凡な内野フライを落球した失策から一死1・3塁となって内野ゴロの間に1点を失った。

阪神は嫌な失点の直後、5回表 ヘイグのヒットと福留・四球で一死1・2塁として5番ゴメスが初球の甘い変化球を逃さず、左中間スタンドへ運ぶ2号3ランを打って突き放す。

「浮いたフォークをしっかりと捉えられたね。いつも『打てるボールが来たら、いいスイングで打ち返す』ということを意識しているんだけど、それが出来た打席だったね!」。京セラドームに続く効果的な一発にマウロ・ゴメス内野手は、ご機嫌な表情を浮かべる。

ゴメスは7回にもヘイグ・福留がお膳立てした一死1・3塁にヤクルト2人目、村中からきっちり中犠飛を打ち上げて、この日4打点目をマーク。阪神がヤクルトに5点差をつけている。「イイ形で走者が出て、甘い球を積極的に狙っていた」ゴメスの正に真骨頂である。

味方の強力援護を受けた藤浪は、本来の圧倒的な投球とは行かないまでも、7回裏一死1・2塁で山田・畠山の中軸を直球勝負で凡打に取るなど要所を締めて行く。

8回まで127球を投げていた藤浪だが、完投勝利寸前の9回裏二死1・2塁から149球目を4番 畠山に中前適時安打を許し2点目を取られたところで、守護神マテオに救援を仰いだ。マテオは雄平を歩かせ二死満塁。一発出れば同点だったが、粘る6番 今浪を遊ゴロに仕留めて、6対2で阪神が開幕2戦目から3連勝を飾る。最後に見せ場は作ったものの、3者凡退が僅か一度と再三塁上を賑わせたヤクルトは、残塁13の拙攻が祟り開幕4連敗を喫した。

「正直なところ、完投出来なくて悔しい!と言うのが一番です」 。ヒーローインタビューに呼ばれた藤浪晋太郎投手は、苦笑いを浮かべた。8回2/3(149球)8安打4三振5四死球2失点(自責1)。「イイ球もあったけど、捉えられた打球が正面を突いたり、ファインプレーもあって、本当に野手の方に助けられた。去年14勝してるし(今季は)最低15勝がノルマだと思う」と、最後はエースらしいコメントで決意を示している。

「これが野球の怖さよ。時間制ではないね」。3連勝の金本知憲監督も最後は肝を冷やしていた。「(藤浪は)さすがに149球。気持ちより身体を優先させて(代えた)。(貢献度は藤浪もゴメスも両方高いけど)あと、孝介のプレー(2度の好守)あれも大きい。点取った後も引っ込められない」。5回裏 畠山の大飛球を好捕するなどディフェンス面でも貢献している福留や先制打の梅野を讃える事も忘れていなかった指揮官。昨季のセリーグ王者を沈めたこの夜の1勝も手応え十分だ。