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球際の明暗
カタチに表れない部分で球際の弱さを見せた阪神が勝運から見放され、ナゴヤドームで痛い連敗を喫した。
中日先発・開幕投手の大野に対して阪神は今季初めて高山を外して1番 北條・6番 中谷など左腕対策のオーダーで臨む。中日は松井雅が今季初のスタメンマスクを被った。初回阪神は北條のヒットと糸井・死球で一死1・2塁とするが、4番 福留が粘りながらも遊ゴロ併殺に倒れる。序盤は毎回走者を送るも点が入らない。
阪神先発は、インフルエンザによる藤浪離脱に伴い中4日で登板した青柳。1・2回は3者凡退で滑り出すが、3回裏に亀澤・松井雅の連打で無死1・3塁とされる。しかし、ここは踏ん張り、後続を抑えた。前回乱調だった広島戦(15日・甲子園)の反省を踏まえて、ストライク先行でゴロアウトも多く、申し分ない立ち上がりとなった。
4回表には原口の二塁打から一死3塁とするが、あと1本が出ない阪神。四球と上本のヒットなどで一死1・3塁とした5回表も4番 福留がフォークに空振り三振に倒れて、またもやチャンスをモノに出来ないかと思ったところで漸く5番 原口が中前に適時安打を放ち阪神が先制する。大野は5回で107球を要するなどピリッとしないながらも粘り強く投げ、何とか最少失点で乗り切った。(大野は6回123球 6安打 2三振 4四死球 1失点)
「打ったのはストレート。みんなが繋いで回って来た打席だったし、粘り強く投げている青柳の為にもなんとか先制したい場面だったので、積極的に打ちに行った」。先制打の原口文仁内野手は、納得の表情だ。
快調なペースで7回裏に入った青柳だが、この回先頭4番 平田に内角球を鮮やかにレフトスタンドへ運ばれる3号ソロ本塁打で追いつかれる。青柳はこの後 盗塁を許すなど二死1・2塁と走者を残して降板する。代わった桑原が代打・井領に内野安打で繋がれ1番 京田に右前へ2点適時安打を浴びて3対1と勝ち越しを許した。
ヒーロー候補が一転、6回2/3(105球)5安打 6三振 2四死球 3失点と青柳晃洋投手には何とも悔しい数字が残った。「何とか途中までは良い流れで投げる事が出来た。ただ、平田選手に一発を打たれてしまい、そのあとも厳しい状況で後ろへ繋ぐ事になってしまい申し訳ないし、反省しないといけない」。項垂れる本人だが、内容は勿論及第点だ。香田勲男投手コーチも、「(平田の場面について)もうひと踏ん張りだね」と一言注文をつけただけである。
リードした中日は、8回表に三ツ間を送る。阪神は二死から中谷のヒットと四球で1・2塁として8番 梅野に代打・高山を起用。中日も4人目・岩瀬にスイッチするが、高山は外角球に対応して左中間へ適時二塁打を放って1点を返した。しかし、続く代打・新井良は更に代わった福谷を捉えきれず二直に終わっている。
その裏 中日二死1塁、6番ビシエドのところで、阪神ベンチは3人目・高橋からマテオにスイッチするが、これが裏目。マテオはビシエドに初球を右翼ポール際へダメ押しとなる今季1号2ランを運ばれてしまった。これで、ほぼ勝負あり。9回表を守護神・田島が締めて、5対2と中日が今季初の連勝を飾っている。2人目として7回1イニングを抑えた祖父江がプロ4年目29歳にして嬉しい初勝利だ。
「そこでペースを持って行ければ・・」。まずは序盤の攻撃で十分な主導権を握れなかった事を悔いた金本知憲監督。前夜のサヨナラ負けの場面もそうだが、内野ゴロでも全力疾走で気迫を前面に出して戦う中日ナインに押されて、結果的にややプレーが甘くなってしまったところが阪神には見られた。「(問題は)守りでしょ?桑原も打たれてないし・・」。7回裏 追いつかれた後の守備で井領の打球を一瞬の迷いで内野安打にしてしまった後、京田が放った一二塁間の打球に追いつけなかったセカンド上本について「(前のプレーを)ちょっと引き摺ったプレーに見えた。どんどん攻めていかないと!」と指揮官は話している。
「平田の場面は、カウントを悪くした点は勿体無かったネ」とは言うものの、好投・青柳は労った指揮官。また、代打で適時打を放った高山に関しては「状態は良くないし(スタメンを外したのは)中谷の方が結果が期待できるという事。(高山も悔しさがあるだろうし)それがないと進歩はない」と金本監督は語る。敢えて試練を与えて飛躍のバネとする道を選んでいた。