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凄く意味のあるドロー
12連戦最後に5時間近い総力戦となった試合は土壇場でヤクルト執念の粘りにあって、阪神が勝てる試合を引分けに持ち込まれた。
東京ヤクルト先発左腕・高橋に対して、阪神は糸原・木浪の左打者をスタメンから外し2番 上本、8番に北條を据える。初回 阪神は近本・中越え二塁打と上本の右前安打と盗塁で無死2・3塁として、3番 糸井の中前適時安打で先取点を奪う。続く大山も右前適時安打を放って追加点。更に一死後 6番 梅野・遊ゴロの間に加点して初回に3点をあげた。
「打ったのはストレート。1・2番が良い形で先制のチャンスを作ってくれたので、しっかり打つことが出来て良かった」。糸井嘉男外野手が先制打を振り返ると、やはり直球を叩いた大山悠輔内野手も、「糸井さんが走ってくれていたおかげで抜けてくれた。初回から良い流れで自分のところに回って来たので、追加点を取ることが出来て良かった」と話している。
阪神先発もサウスポーの岩田。この3連戦日替り1・2番のヤクルトは、太田・荒木のコンビで攻略を図る。岩田は初回 内野ゴロ3つで滑り出し、序盤は井野のヒット1本に抑えた。4回裏には荒木・青木の連打で無死1・2塁と初めて大きなピンチを迎えたが、4番 山田哲をフォークで空振り三振。雄平・大引も内野ゴロに打ち取り脱出する。
ヤクルト・高橋は2回以降、立ち直る。4回表は2四球で二死1・2塁となるも近本を空振り三振に斬る。5回表も二死3塁で福留のセンターへ抜けそうな打球を山田哲の超美技で二ゴロに打ち取り、ピンチを逃れた。5回(97球)を投げて 5安打 7三振 3四球 3失点。初回を除けば被安打1とよく粘っていただけに、立ち上がり 真っ直ぐを揃え過ぎて失点を重ねた事が悔やまれる。
岩田は素晴らしい内容の投球を続けていたが、6回裏二死 3番 青木の頭部に死球を当ててしまい危険球退場となる。過去にも岩田に頭部へ当てられていた青木は立ち上がって激昂し、両軍ナインがグラウンドへ飛び出して一触即発の危機に。警告試合として再開されたが、急遽登板した守屋は 山田哲を右飛に打ち取っている。
岩田 稔投手は、5回2/3(85球)4安打 4三振 1死球 無失点。「全体的に、低めをついた自分らしい投球が出来たとは思う。(死球は)抜け球になってしまった。(青木選手に)申し訳ないです」 。初回から順風満帆な投球で来ていただけに、岩田自身にとっても痛恨の死球となってしまった。
6回から継投に入ったヤクルトはマクガフ〜ハフと繋ぎ追加点を防いでいたが、8回表 4人目の五十嵐は梅野のヒットと代打・木浪への四球で二死1・2塁と走者を背負い、代打・糸原に2点適時三塁打を浴びる。阪神は、終盤にようやく貴重な2点を追加して5対0とリードを広げ、これで勝負あったかに思われた。
しかし、その裏 阪神4人目・福永が太田・宮本・青木の3連打で無死満塁とされて18打席無安打だった4番 山田哲に右中間2点適時二塁打を浴びた。尚も無死2・3塁で阪神ベンチは堪らずジョンソンへスイッチするが、5番 雄平にも左越え適時二塁打を打たれて更に2点を返され1点差とされる。続く大引の投ゴロで走者が進み、7番 村上の左犠飛で遂に5対5。これで来日初自責点がついたジョンソンの連続試合無失点記録も16でストップしてしまった。
9回表はヤクルトの若き新守護神・梅野が、植田・糸井・大山を3者連続空振り三振に仕留める。その裏 阪神6人目・藤川は一死から宮本を振り逃げで塁に出す。犠打で走者が2塁となり、山田哲は申告敬遠。二死1・2塁で5番雄平とは真っ直ぐ勝負に出て空振り三振に斬ってみせた。
延長10回裏から阪神は、守護神ドリスを投入。ドリスは回跨ぎで2イニングを無失点で切り抜けた。ヤクルトは11回表から6人目の近藤が登板する。12回表 阪神は先頭・大山が投手強襲安打で出塁すると、途中出場・高山の犠打で二進。梅野は申告敬遠で一死1・2塁となって矢野監督は代打・中谷を送った。ここで中谷は近藤の甘く入った球を見逃さずにジャストミート!前進守備の左中間を抜く適時二塁打となって、阪神が2点を勝ち越した。
12回裏 阪神はサウスポー島本が登板。先頭4番 山田哲に左翼ポール直撃の8号ソロ本塁打を浴びて1点差に迫られる。二死後 村上に死球を当て盗塁を許すと代打・中村に同点の右越え適時二塁打を打たれてしまった。中村の代走には投手の風張が起用された総力戦。次打者・西田が右飛に終わり、4時間53分に及ぶ死闘は、結局7対7の痛み分けに終わった。
ヤクルトにとっては勝ちに等しいドローでも、阪神には残念な結果である。誤算はやはり、岩田の危険球退場。あそこから全ての誤算がスタートしたと言える。先日の今季初登板で首脳陣の評価を上げた福永だが、8回裏の起用は裏目に出たと言わざるを得ない。その後の用兵は間違いなく進んだだけに悔いが残るところだろう。
それでも、試合後ミーティングを行った矢野燿大監督は前向きだった。「こういう展開にしてしまったのは(総合的に考えて選手を起用した)オレの判断なんで申し訳ない・・結果的に福永にも申し訳ないし。でも、ある意味では。シュン(高山)のバントだってめちゃシビれたやろうし、マサヒロ(中谷)もあの場面で打った言うのは凄い価値があったし。あとの中継ぎ投手もあそこから粘ってゼロに抑えていく!ってメチャメチャしんどい場面をああいう風に乗り切ってくれた!というのは、これも選手たちに言ったんだけど、オレら一年間成長して行かなあかんチームの中で言うと引分けで終われたという事は、オレらにとっても意味あるんちゃうかな?」。
改元を跨いだ12連戦は8勝3敗1分で終わった。だからこそ、大逆転負けを免れたこの引分けには価値があるという指揮官。思えば、2003年の序盤戦で最後に追いつかれて巨人と引分けた試合が、チームが優勝へと向かう原動力となった。この夜の死闘が栄光への分岐点となる事を願うばかりだ。