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起死回生のスーパーキャッチ
高山のビッグプレーなどで何度も窮地を守り切った阪神が、一丸野球で苦しい延長戦を制した。
巨人先発左腕・今村に対する阪神は2番に上本を入れ、前夜のヒーロー・ソラーテを休養日の福留に代えて5番レフトで起用する。今村は序盤3回を全て3者凡退で完璧に滑り出す。
阪神先発は、なかなか勝ち星に恵まれない西が中5日で登板。巨人は、立岡・若林の1・2番。坂本勇を4番に据えて岡本を7番に下げるなど大ナタを振るってきた。西は立ち上がり、二死から3番丸に初球真っ直ぐをセンター左へ会心の打球で17号先制ソロ本塁打を運ばれる。尚も坂本勇・亀井に連打を許すが、今季6打数3安打と相性の悪い6番 大城は空振り三振に斬った。
2回裏 巨人は中前安打の先頭・岡本を小林が送って、二死後1番 立岡が中前適時安打を放ち2点目を奪う。西にとってはコントロールミスの変化球を打たれた格好だ。前夜とは逆に序盤は巨人のペースで始まった。
5回表一死。それまで今村に完全に抑えられていた阪神は5番ソラーテが緩いカーブに対応して左二塁打で出塁する。マルテは倒れるも今村に強い7番 北條が二遊間突破の中前適時安打を放ち、漸く1点を返した。
西は、5回(93球)まで投げて6安打4三振3四球2失点で交代。立ち上がりから再三走者を背負う中で粘りのピッチングだった。
巨人・今村は6回表二死から上本・四球に続き糸井にも死球を与えたところで大竹と交代。大竹が4番 大山を三ゴロに抑えてリードを保っている。阪神は6回からの継投となる。6回裏は、浜地がゲレーロのヒット1本だけで無失点に凌いだ。
巨人3人目・澤村が登板した7回表 阪神はソラーテが倒れた後6番マルテがカウント3-0からのストレートを狙い打ってレフトスタンドへ9号ソロアーチを放り込んだ。「チームの助けになる為に、しっかり強いスイングをしようと思っていたよ。追いつくことができて最高のホームランになったね!」。ジェフリー・マルテ内野手は、興奮気味に話した。
その裏 阪神はジョンソンが巨人を3者凡退に抑える。4人目・岩崎が登板した8回裏は、岡本への四球から代打・石川と炭谷の連打で一死満塁の大ピンチとなるが、1番 立岡を一邪飛。続く若林には粘られた末に外角直球で空振り三振に仕留めた。
巨人も8回高木、9回デラロサと繋いで阪神に勝ち越しを許さず、阪神も9回裏一死から5人目・守屋が坂本勇・亀井を連続三振に斬る好投で、試合は延長戦に突入した。
10回表 巨人の守護神・中川にピシャリと抑えられた阪神は、その裏 移籍後初登板となる高野を送るが、いきなり先頭・大城に右前安打で出塁を許して岡本にも死球を与えて無死1・2塁のピンチを背負う。代打・田中俊の送りバントはリプレー検証となるも高野が3塁で刺して一死。続く途中出場の炭谷は前進守備だったライト後方を襲ったが、背走した高山が倒れ込みながら好捕する超美技を見せて二死となる。阪神は、ここで高野から飯田にスイッチ。立岡に四球を与えて満塁となるが、2番 若林を何とか空振り三振に仕留めた。
サヨナラの大ピンチを逃れた阪神は、11回表 巨人・田口を攻める。一死から梅野が左二塁打でチャンスメイクして、巨人・炭谷の捕逸で3塁へと進む。途中出場・高山は浅い左飛で二死となるが、4番 大山が真っ直ぐを中前に運ぶ適時安打で遂に勝ち越し点を奪った。
その裏 守護神・藤川は一死から坂本勇を歩かせ、二死後 代打・阿部を追い込みながら右前安打。7番 岡本にも四球を与えて二死満塁となるが、次の田中俊を何とか捕邪飛に打ち取り、またしても絶体絶命のピンチを切り抜けた阪神が3対2で4時間37分の死闘を制した。
「いやぁ、本当に勝ててよかったなと思う。チーム全員でピンチを守ったし、一人一人が繋いで回してくれたので、何とか決めたいと思って打席に入った。(打った感触は)あまり覚えてない」。ヒーローインタビューで決勝打の大山悠輔内野手は、勝利の余韻に浸っていた。「(10回裏 高山の美技について)やっぱり、あのプレーで本当にチームが救われたと思ってるので、何とかそれに応えたいな!」と言う一心だったようだ。
矢野燿大監督も、「(ポイントは)振り返ると色々あると思うけど、その中でも高山のあのプレーは、ちょっと諦めたり、ちょっと無理かな?と思った時には捕れない打球だったと思うけど、それを諦めずに何とか捕ってやる!と言う気持ちでね、捕ってくれたと言うのは。みんな頑張ったけど、あのプレーが一番大きいかな!」と話した。
「高野も飯田も(昇格して最初の登板が)緊迫した場面だったんで、使う方としては申し訳ないなと言う感じだったんだけど、それぞれ思い切って腕振ってよく投げてくれた」。指揮官は、ムードを変えてくれた外国人野手2人は勿論、全ての選手の頑張りを称える。「(11回裏は)あの展開、あのイニングって、オレも客観的にみてスンナリ終わらないなって思う」難しい場面を何とか切り抜けた藤川の経験値に改めて最敬礼だ。
「今日取れたというのは本当に大きいし、球児もよく頑張ってくれたんでね。何とかもう一つ取れるように、明日頑張ります」。しんどい戦いを終えたばかりの指揮官は、貪欲に敵地でのスイープを誓っていた。