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青柳、痛恨の100球目
両先発投手が粘りの投球を見せ 中盤まで１点を争う好試合となったが、再三のチャンスを生かせない打線の湿りに救援陣も踏ん張れず、またしても阪神が悪い流れに飲み込まれてしまった。
今季初のナゴヤドーム。中日先発・昨季１１勝の柳と阪神先発・青柳も共に初回３者凡退で立ち上がる。２回は、表がボーア・中前安打。裏はボーアの失策で共に一死から走者が出るも、後続が倒れて得点が入らない。
３回表 阪神は先頭・梅野の右越え二塁打でチャンスを作るが、青柳はスリーバント失敗。近本・空振り三振で二死。２番 糸原のニゴロはリプレー検証の末、判定通りとなって先制機を逃した。真っ直ぐの伸びが良い柳は、時折無駄な球も見受けられるものの、カーブで緩急をつけ新球シンカーやフォークを駆使するなど落ち着いた投球だった。
その裏 先頭・京田を投ゴロに仕留めた青柳だが、軽く投げようとした一塁送球が緩んで内野安打にする珍プレーで出塁を許すと、犠打や死球もあって二死１・２塁のピンチを招く。ここは２番 平田を外角の丁寧な出し入れで空振り三振に斬って、何とか脱出した。
４回表は一死後 マルテ・ボーアが連続四球で走者が溜まるも、６番サンズがボテボテの三ゴロ併殺打に倒れて相手の隙につけ込む事が出来ない。５回裏 中日は内野安打と死球で無死１・２塁。８番 木下拓の送りバントを捕手・梅野が三塁送球も間一髪セーフ判定となり、矢野監督はリクエストを出す。検証結果はアウトに覆り、後続も退けた青柳が、大きなピンチを切り抜けた。
６回表 阪神は先頭・近本がヒットで出塁。糸原・一ゴロ、糸井・四球で一死１・２塁とするが、４番マルテは三ゴロ併殺打に倒れて、どうしても得点に至らない。その裏 青柳は先頭・平田への四球と高橋・四球で二死１・２塁とされて、６番 阿部にフルカウントから一二塁間を破る右前適時安打を許してしまう。この日のちょうど100球目に痛恨の失点を喰らい中日にリードを奪われた。
７回表 阪神も一死からサンズ・四球で出塁。二死後、代走・江越の盗塁に梅野・四球でチャンスを迎え、ベンチは青柳に代打・大山を送ったが、大山は変化球を打ち三ゴロに倒れ、追いつく事が出来なかった。
その裏 阪神２人目・能見は１安打２四球で一死満塁とされて、右打席に入った３番アルモンテに初球・真っ直ぐをレフトスタンドへ１号グランドスラムを運ばれてしまった。またしても、救援陣が踏ん張れずにゲームが壊れる悪循環。猛虎ベンチが凍りつく。
中日・柳は７回（118球）３安打７三振５四球 無失点で降板。ピンチの数では青柳よりも多かったが、要所を締めるメリハリはさすがだった。今季初白星の権利を手に、ベンチから味方のプレーを見守っていた。
阪神は劣勢の中で、８回裏にファームから昇格した馬場が今季一軍初登板。２三振を奪う好投で、この回をピシャリと締めている。「しっかり落ち着いて自分の持ち味である低めに投げる事が出来た。意識して取り組んでいた事が出せたし、次に繋がる投球が出来たと思う」。馬場皐輔投手が、ホッとした表情で振り返った。
試合は、このまま５対０で中日が勝利。阪神はカード初戦を全て落としての連敗で、１０試合を終えて２勝８敗となった。投打が噛み合わない状況を何とか打破したいところである。
「試合の入りは良かったけど、自分自身のミスを含め走者を溜めてしまったのは反省点」。青柳晃洋投手は、６回（103球）４安打４三振４四死球１失点で敗戦投手となった。「（好投しても）負けちゃったんでね。（６回裏１点取られたところは）ボクの中では高橋より阿部との勝負に行ったけど…カウント負け。3-2にしたのが良くなかったな！」。打たれるまでの過程を悔やんでいた。
「（青柳は）ゴロをよく打たせて、らしい投球が出来たかなと思うけど。打線が打てないんで。それに尽きるよね」。矢野燿大監督は、一向に繋がらない打線にお手上げだ。「これだけみんな悪いとね。やっぱり、ちょっと。四球四球と繋がってもゲッツーとかね。苦しい状況だけど、明日も試合があるんで、何とか変えたいんだけど、なかなか突破口というのがね、見えない」。
開幕から比較的調子が良いのはマルテと糸井ぐらいだが、「周りがね。どうしても繋がらんよねー。どうやっても、これは。ホントに。… 前向いてやるしかないんで！それしか言えないんだけど。ごめんね」と最後は、珍しく質問する報道陣に謝罪。それほど、試合直後は冷静でいられなかったのかもしれない。
とは言え、何度かチャンスは作ったし、あと１本というところまでは来ている。明けない夜も出口のないトンネルだって存在しない。悪夢のようだった６月に別れを告げて、まもなく７月反攻が始まる筈だ。
