勝つために必要なものを選手たちに<前編>
新しい年が明け、また新たな戦いの幕開けが刻一刻と近づいている。新型コロナウイルスの流行による混乱はいまだ続いているが、いまはひっそりと、来たる春へ向け、選手たちそれぞれが準備の日々を過ごしている。
大きな可能性を秘める新人たちがチームに加わり、実績十分の新助っ人陣たちも加入と、楽しみなニュースが多かったこのオフ、新たなシーズンへ心を高鳴らせているファンも多いことだろう。
選手たちの顔ぶれはもちろん変わるが、首脳陣の中でも一人、大きく役割が変わる男がいる。背番号99、井上一樹コーチだ。昨年は一軍打撃コーチとして、近年破壊力不足に泣いてきたチームの打撃力を向上させた男は、今年ヘッドコーチという立場へと役割を変え、新たなシーズンに臨むことになる。
一昨年のオフ、コーチ就任時に「コミュニケーションモンスターになる」と宣言した彼の精力的な姿は、昨シーズンの戦いを見ていたファンならみんな知っていることだろう。球団公式YouTubeチャンネルでも、ときには“いじられ”ながら笑顔を振りまく様子が収録されているとおり、昨年が1年目とは思えぬほどに、縦縞のユニフォーム姿が馴染んでいた。
「昨年は1年目でしたが、シーズンを通じて、いまの選手たちがどういった性格なのかだったり、どういった練習を好んでいるかだったりというのを知ることができました。2021年はそれを知った上で望めるので、優しい顔ばかりではなく、厳しさの部分もときには出しながら、やっていきたいなと思います」
現役時代は中日ドラゴンズ一筋。引退後も二軍監督などを務め、2014年からは野球解説者として現場を外から見ていた。ひさびさにユニフォームに袖を通して感じたのは、いまの若手選手たちの若手らしい、悩みと葛藤だったという。
「やっぱり、タイガースというのはよくも悪くも注目を浴びるチームなので…」
勝つために必要なものを選手たちにショートver<前編> 終了。