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風に翻ろうされた一戦。最後は高山が決めた
甲子園の気まぐれな風が、どちらを勝たせるか悩んだ末に、最後の最後、阪神に味方した。
1対1の同点で迎えた7回、大和の適時打で1点を勝ち越し、8回には鳥谷の犠飛で加点。リードを2点に広げ、8回を9球で抑えたマテオを続投させて逃げ切りを図ったが…。
先頭・鈴木の飛球を鳥谷が捕れず、二塁打としてしまう。ただ、先日のような“ミス”ではなく、打球が風に流されたもので、金本監督も「油断したプレーじゃない。普通のポテンヒット」と話した。
次打者は代打・安部。打率は3割を超えているが、それほど一発長打を警戒しなければいけないバッターではない。ところが、1ボールからの2球目をとらえた打球は、フラフラと風に乗り、右翼スタンドに着弾した。ライトフライのつもりでボールを追った福留が、あ然とする同点2ランだった。
マテオは後続を抑えたが、2試合連続の延長戦を覚悟したファンも多かったかもしれない。ただ、投げれば4連投となる藤川をはじめ、リリーフ陣は登板過多気味。何とか9回でケリを付けたい。そんな思いが野手陣を奮い立たせた。
先頭の大和がセンター左のフェンスを直撃する二塁打で出塁。本人は「あそこ止まりでしょ(笑)」と自嘲気味に話したが、監督は「いいツーベースを打った」と評価。この一打がサヨナラへとつながっていく。
途中出場の今成が初球で犠打を決めると、広島ベンチは四番・福留、五番・ゴメスを敬遠し、満塁策を取った。目の前で2人の打者が敬遠されるのを見た高山だが、冷静に準備していたと言う。
「大和さんが打って、今成さんがバントを決めた時点で、コーチから『敬遠でお前勝負があるぞ』と言われていた。その言葉があったから、落ち着いて平常心でいられました」
打つことしか考えていなかったと言う高山だが、初球ボールのあとの2球目を打ち損じ、三塁ファウルフライ…と思ったら、サードの守備に就いていた安部が落球。上空はかなり風が舞っていたようで、高山は命拾いした。
仕切り直しとなった3球目、真ん中高めの直球を振り抜くと、打球は右前で弾んだ。プロ初のサヨナラヒットだ。
「監督にも『がっつくな』と言われていたので、的を小さく絞って打ちました」
風に翻ろうされた一戦を、ルーキーの一打でモノにした。
「疲れました、私は」と切り出した片岡打撃コーチ。ここ2試合はヒットが出ても、なかなか得点につながらなかった。でも、最後は高山が決めてくれた。
「ああいう展開で、なかなか(走者を)かえせないところ。向こうの“アシスト”もありましたけど、高山にとっては大きな経験になったでしょう。4月終わりから停滞していましたけど、このサヨナラヒットを上昇のきっかけにしてほしいですね」
高山は3安打を放ち、3試合連続マルチヒット。底は脱したようだ。