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39歳福留のサイクル安打で中日に快勝

四番が打てば勝てる。しかもサイクルヒットまで記録したのだから、負けるはずがない。
 
四番・福留は2回に5号先制ソロ本塁打を放つと、4回は先頭で中前打。北條の適時打で2点目のホームを踏んだ。高山の甲子園初ホームランで1点を追加した5回には、一死二塁から右翼越え三塁打でさらに加点。続く原口の中前打で、またホームを駆け抜けた。
 
二塁打を打てばサイクル安打となる6回の打席。スタンドには準備よく、偉業達成を期待するボードが掲げられていた。メッセンジャー、高山の連打と、荒木の四球で作った二死満塁のチャンス。1ボールから福留のバットがとらえた打球は、やや前進していた左翼・工藤のグラブの先を越えた。走者一掃適時二塁打だ。
 
「捕られるかなという思いもあったけど、風にも助けられたし、抜けてくれよかった」
 
プロ野球史上69度目となる偉業達成。福留は中日に在籍していた03年にも記録しており、複数回の達成は史上4人目の快挙だった。
 
「すべてがいいところ、欲しいところでのヒットで助かりました。2回目ですか。僕は1回ですけど(笑)。4打席目も点が欲しかったので、ツーベースじゃなくても単打でもいいと思っていたけど、3打点で、あそこで勝利を確信できました。39歳? 2日前にも三塁打とか、一塁からホームインとか、ちょっと足が心配だったけど、足が動いているし、打撃も上がってきている」
 
ベテランの期待以上の働きに、金本監督の口も滑らかだった。
 
きのうは“小休止”だった打線も、きょうはまた13安打8得点と爆発。勢いづかせた福留の一発は、今季、甲子園で左打者が右翼スタンドへ放った第1号だった。
 
「知ってましたよ。高山君より先に打ててよかったです(笑)」
 
高山のホームランも右翼へのものだったのだ。決して甘いボールではなく、中日先発・吉見の低めスライダーをうまく拾った一打に、「ホントにうまいこと打てました」と自画自賛した福留。
 
「吉見はどんどんストライクゾーンに、四隅を使って投げてくるピッチャー。それは頭に入っているので、自分のスイングができるボールが来たら、積極的に打っていこうと思っていました」
 
かつてのチームメートである吉見のことは、誰に言われなくてもよく分かっている。相手投手の特徴を理解した上での、技ありの一発だった。
 
日米通算2000安打の日はチームが敗れて喜びが半減した。きょうは今季最多の4万6803人のお客さんの前で、勝利に貢献する記録達成。「チームが勝てばうれしさが倍になる。自分のことよりチームが勝ったことがよかった」というのが福留の本音だ。