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強いハートを持て!
エース離脱の緊急事態にチームが結束した猛虎が、先発全員安打を放って眼下の敵に快勝を飾った。
試合前から横浜スタジアムの阪神ベンチには危機感が漂う。前夜 打球を受け降板したメッセンジャーの右足腓骨骨折が判明。長期離脱を避けられない事態となっていたからだ。「ケガをしてしまった事は仕方がない。チームの皆にはクライマックスシリーズ、日本シリーズ出場を目指して頑張ってもらいたい」とコメントした登録抹消のランディ・メッセンジャー投手。この緊急事態に、指揮官は猛虎ナインを鼓舞してDeNAとの対決に挑んだ。
気温20度台半ばと涼しく、雨の中でプレーボールがかかった一戦。横浜DeNA 先発左腕・石田に対する阪神は、上本を外し2番に西岡を入れる。初回は3者凡退だったが、2回表一死後5番 中谷の飛球をレフト筒香が霧雨に見失い落球する失策で3塁まで進塁。ここで6番 鳥谷が左中間最上段フェンスに当たる適時二塁打を放ち、阪神が先制する。
鳥谷 敬内野手が振り返る。「打ったのはストレート。相手のミスもあり チャンスを貰った形だったので、積極的に打ちに行った。(本塁打判定がリプレー検証で二塁打に変わったが)とにかく先制する事が出来て良かった」。
3回表には俊介・ロジャースのヒットで走者を溜めた二死1・2塁から5番 中谷が外寄りスライダーを捉えて左中間スタンドへ13号3ランを放り込んで、阪神が追加点を奪う。「みんなが繋いでくれて回って来た打席だったし、まだまだ追加点の欲しいところ。甘くなった球を逃すことなくしっかりと捉えることが出来た」と中谷将大外野手が会心の当たりを満足そうに振り返った。
阪神先発・岩田は初回 サード鳥谷のエラーから一死1・2塁のピンチを背負うが、ここを切り抜けると 低く集めてボールを動かす持ち味の投球 で序盤を無安打に抑える。4回裏二死 5番宮崎にDeNA初安打となるライト線安打を許すが、続く戸柱は外角直球で見逃し三振に斬って得点を許さない。
5回表 西岡が内野安打で出ると阪神ベンチは代走・森越を送る。無死1塁から3番 大山が左中間適時二塁打を放ち森越を返すと、続くロジャースは高め真っ直ぐを仕留めて左中間スタンドへ運ぶ 4号2点本塁打を放ち7対0とした。横浜DeNA・石田は4回1/3(97球)10安打5三振 無四球 7失点(自責6)で降板。立ち上がりは悪くなかったが、5回に浴びた長打はいずれも高めの甘い直球を痛打されたものだった。
大山悠輔内野手が、「とにかく食らいついて打ちに行った。ストレートに振り負けないスイングを心がけていたので、しっかりと自分のスイングをすることが出来て良かった」と話す。ジェイソン・ロジャース内野手は「走者を返すことを考えて打席に入りました。前の打席で緩い球をヒットにしていたので、速い球をイメージしていた。打った瞬間『犠牲フライにはなる』とは思ったけど、スタンドまで届いてくれるか?はわからなかった」と振り返った。
5回裏 岩田は一死1塁から9番 倉本に左中間へ適時二塁打を運ばれて失点するが、大量援護に余裕を持って一つ一つアウトを重ねて行く。7回裏には代打・後藤のヒット性のあたりをショート大和が捌き併殺に取る美技にも助けられる。7回(99球)を投げて3安打 4三振2四死球 1失点と申し分ない投球だった。
阪神は7回表にもDeNA3人目・平田から8番 坂本が先発全員安打となる中前適時安打を放ちリードを広げ、投げては8回をメッセンジャーに代わり再昇格のメンデス、9回は今季初登板・石崎と繋いで8対1で勝ち、真夏の2位攻防シリーズ初戦を制した。先発全員を含む13安打の阪神だったが、鳥谷は今季3度目の3安打を記録。通算2000安打まで、あと29本としている。
ヒーローインタビューは、今季2勝目をあげた岩田 稔投手だ。「(初回のピンチは)先制点を絶対あげたくなかったので、全力でゼロをつけに行った。(試合前に捕手・坂本と攻め方を綿密に話し合って)それが実践出来た事が良かったと思う。(7回裏 大和の超美技は)凄いゲッツー!最高!凄い助かります!」と口調も自然に熱くなる。メッセンジャー不在の現状だが、「一人でまかなえるか?分からないけど、ランディが帰って来るまで、みんなで団結して頑張って行きたい」と誓っている。
「やっぱり中谷の一発(3回表の3ラン)が大きかった。このところ状態は良いけど、対応の仕方とか慣れて来たというところもあると思う。元々飛ばす力はあるから、アジャストする事が出来るように慣ればと・・・(去年から感じていた)。大山もいい当たりを見せて、このところ片鱗を見せてくれている」。金本知憲監督は非常に満足そうだった。「(岩田は)良い時には真っ直ぐで押して、スライダーで空振りを取る。そういう投球が出来ている。それに、メッセンジャーの穴を埋めてやる!という気持ちがあったんじゃないかな?こういう時こそ強いハートを持って欲しい。岩田には、それを感じた。(他の選手にも)そういう気持ちを持って欲しいし、それをこれから見て行きたい」と終始 納得の表情で話していた。