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近本初の連発も実らず

負けられない大一番で3度リードを奪った阪神だが、先発左腕が踏ん張れずに逆転を許して敗れ、巨人に優勝マジック38が点灯した。

巨人は、開幕10連勝のエース菅野を立て万全の体制。後がない阪神も梅野2番、糸原3番の新打線を継続して今季未勝利の東京ドームで必勝を期す。初回先頭・近本が粘って右前安打。梅野・犠打で一死2塁と好機を作り、初球ツーシームを叩いた3番 糸原の中前適時安打で鮮やかに先取点をあげた。「チカ(近本)と梅野さんが良い形で繋いでくれましたし、そんなにチャンスは多くないと思うので、絶対にこのチャンスをものにしたいと思っていた。先制する事が出来て良かった」。糸原健斗内野手が、先制打をこう振り返っている。

阪神先発左腕・高橋に対する巨人は、引分けを挟み7連勝中と波に乗っている。初回は3者凡退で滑り出した高橋だが、2回裏一死から丸・中島の連打で1・3塁とされて、大城は三振に斬るも8番 吉川尚にスライダーを中前へ返される同点適時安打。序盤で追いつかれる。

直後の3回表 阪神は二死から1番 近本が内角速球を被せるように張り切り、ライトスタンド上段へ4号ソロ本塁打を運んで再びリードを奪った。「二死からでも塁に出てチャンスを作るために、コンパクトに強くスイングする意識で打席に入った。甘い球を仕留めることが出来たし、結果的に最高の形になって良かった」。近本光司外野手は、会心の一打に納得の表情だ。

4回表 阪神はサンズのヒットと大山・振り逃げによって一死1・3塁と絶好機が舞い込む。しかし、ボーアは初球を打ち上げ遊飛。糸井・四球も二死満塁で8番 糸原が空振り三振に倒れて追加点を取れない。すると、その裏 巨人は先頭・岡本の左二塁打でチャンスを作り、5番 丸が中前適時安打で続いて2対2とまた同点としている。

2度追いつかれた阪神だが、5回表一死で1番 近本がスライダーを捉えライトへ2打席連続の5号ソロアーチを放ち、3度目の勝ち越しとなった。自身初となる連続打席本塁打を放った近本光司外野手は、「打ったのはスライダー。前の打席と同じように、コンパクトにスイングすることを強く意識して打席に入った。(高橋)遥人も頑張っているし、同点に追いつかれた直後だったので、早く勝ち越す事が出来て良かった」と話している。

阪神・高橋は、6回裏 松原・右二塁打と亀井・右前安打で無死1・3塁のピンチとなり、苦手の4番 岡本を迎える。岡本には詰まりながらも中前に落ちる適時安打を打たれ三たび同点。更に丸の右前安打で無死満塁となったところで、高橋は岩貞と交代した。岩貞は一死後7番 大城に勝越しの右前2点適時安打を浴びて、遂に5対3と巨人にリードを許す。

高橋は5回0/3(76球)9安打6三振 無四球5失点だった。「野手の方々に先制してもらい、追いつかれてしまった後にも、すぐに取り返しても
らったにも関わらず、粘る事が出来ず、逆転されてしまい、チームに申し訳ない」。大事な試合に結果を残せず、高橋遥人投手が頭を下げた。

リードを奪った巨人も菅野からリリーフ勝負に切り替える。先発・菅野は6回(100球)を投げて7安打5三振1四球3失点で勝ち投手の権利を持って降板となった。菅野智之投手は、「初回に先制点を与えた事を反省しなくてはいけない。ただ、大量失点してもおかしくない状況ですタイムリーを打たれずに粘る事が出来た事は良かったと思う」と振り返る。

7回表 阪神は途中出場・小幡の内野安打と近本・四球で2人目・高梨を無死1・2塁と攻めつける。しかし、2番 梅野の時 バスターエンドランを仕掛けて空振り。三盗を狙った走者・小幡が憤死となってチャンスがすぼみ、そのまま後続が抑えられてしまった。その裏から阪神は、3人目・馬場が登板したが、回を跨いだ8回裏二死1・2塁から6回裏勝越し打の大城に中前適時安打を浴びて手痛い追加点を失った。

巨人は8回表を大竹がゼロに抑えて、守護神・デラロサへと繋ぐ。9回表 阪神は途中出場・中谷の左前安打と代打・陽川の四球で一死1・2塁。ここで近本のセンターへ抜けそうな打球はセカンド吉川尚の超美技に阻まれ二死となる。続く梅野も見逃し三振に倒れて6対3と巨人の軍門に下った。引分けを挟んで8連勝の巨人は、優勝へのマジックナンバーが点灯。菅野は開幕からの連勝を11として、球団では、スタルヒン以来82年ぶりの快挙である。

チーム一丸の奮闘も及ばず東京ドームでの連敗を止められなかった阪神だが、菅野から3点を奪った攻撃など意地は示した。ただ、7回表のバスターエンドラン(重盗)失敗に象徴されるように、作戦面・走塁面でのきめ細かさという点では、巨人と比べてかなりの差があるように思われる。数字上とは言え、残り50試合足らずの時点で自力優勝の可能性が消えた事実は、重く受け止めなくてはならないだろう。